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エンディングノートA 思いを伝えるということ。

現在自社セミナーでエンディングノートのパートを担当しています。
参加者の方は大半が高齢の方になるのですが、中には私と同年代もしくは
それよりも若い方がいらっしゃる時に必ずお伝えすることがあります。

今から5年前に亡くなったのですが、私にテニスの楽しさを教えてくれた
友人がいました。
学生時代に知り合ったわけではなく、趣味を通して出来た、
数少ない親友で、そして何よりも頼りになるダブルスのパートナーでした。
結婚後も家族ぐるみでお互いの家を行き来する、そんな間柄でした。

ダブルスを組んで12年目の年の暮れ、突然その訃報は飛び込んできました。
A君の奥さんから電話があり、2週間前に彼が亡くなったことを知らされました。
プラントの設計をしていた彼は、年間の半分を長期出張で過ごし、
そして酒の好きなA君は奥さんの目の届かないところで、
毎日のように大酒をくらっていたようです。
その日も取引先の人間と飲みに出かけ、2次会でかなり酔い、
ホテルに戻ったわけですが、次の日出勤してこないのを不思議に
思った同僚が部屋を訪ねると、既に心肺停止状態であったと聞きます。
表向きは心臓麻痺ということでしたが、その原因は過度のアルコール摂取が
引き起こしたものであったとのことでした。

葬儀に関しては、死因に関し、A君の実家並びに奥さんが、労災をめぐって
会社とかなりもめたと聞きます。
結局実家のお父さんが家族だけで行うことを決め、会社関係者や
友人・知人関係を呼ぶこと考えていた奥さんの考えが汲まれることは
ありませんでした。

葬儀が終わって、3週間が過ぎ、ようやくA君の霊前に向き合うことが出来ました。
半年前に生まれたA君の次男が、ベビーベッドの上で無邪気な笑顔を
振りまいている姿に、私の涙は止まりそうもありませんでした。

彼が亡くなったのは34歳の時で、まだこれから仕事も家庭も、
守るべきものがたくさん出来た中での急逝でした。
周りの人間まで、気持ち良くさせるぐらい明るく、気遣いのでき、
揉め事の嫌いな彼がいれば(当然彼の葬儀ですから無理なんですが)、
多分葬儀のことでも「まぁまぁ。」といって、うまく話をまとめたことだろうと思います。

彼にはきっと伝えたいことがたくさんあったはずなのに、奥さんも、子供達も
それを聞くことが出来ないままで・・・。
いったい何を伝えたかったのだろうか。
そこにはどんな思いがあったのだろうか。

エンディングノートは決して高齢の方だけのツールでありません。

「死を考えることで、初めて生きることを実感でき、生を考えることが出来る。」

若い方でもいつ何時家族や愛する方と、別れを迎えなければならないことが
あるかもしれません。
そのためにも、あなたの思いを形に残し、伝えるすべをもっていただきたいと
思うのです。  傳

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